2017年9月24日 『恐れるな、神によりたのめ』 (ネヘミヤ6:10-16) | 説教      

2017年9月24日 『恐れるな、神によりたのめ』 (ネヘミヤ6:10-16)

 ネヘミヤが神様から与えられたビジョンとして行って来た、エルサレム城壁の再建工事もいよいよ完成の時が近づいていました。これまで、工事に反対するサンバラテやトビヤから、様々な妨害を受けてきましたし、工事に携わっているユダヤ人たちが、その工事のスケールの大きさに圧倒され、また、敵の攻撃を恐れたために、気力を失うこともありました。しかし、リーダーのネヘミヤは、常に神様にまず祈りをささげて、一つ一つの問題を解決してきました。城壁の石が頂上まで積み上げられ、あとは、材木を使って門を取り付けるだけというところまで工事は進んでいました。工事に反対しているサンバラテ、トビヤ、アラビア人ゲシェムたちは非常に焦りました。最後の敵からの攻撃は、ネヘミヤという一人の人間に向けられました。
 
(1)敵の陰謀と脅し(1-9節)
 これまで工事を妨害し続けてきたサンバラテたちは、またまた陰謀をたくらみ、彼らはネヘミヤに協力するようなそぶりを見せました。2節を見ると、「サヌバラテとゲシェムは私のところに使いをよこして「さあ、オノの平地にある村の一つで会見しよう。」とネヘミヤに言いました。オノと呼ばれた平地は、エルサレムの北西30キロのところにありましたが、彼らは、ネヘミヤがオノに向かうところを待ち伏せして殺そうと考えていたようです。しかし、ネヘミヤは、彼らの申し出をきっぱりと断っています。彼が彼らに答えた言葉が3節に記されていますが、彼は3つの確信を持っていたので、彼らの甘い誘いをはねのけました。第一に、彼は敵の陰謀を見抜いていました。2節に「彼らは私に害を加えようとたくらんでいたのである。」とネヘミヤ自身が記しています。それは、ネヘミヤがいつも神に祈っていたので霊的に相手の心を見抜く力が与えられていたからでしょうし、また、彼はもともと、ペルシャ王の毒見係として働いていましたから、敵の陰謀を見抜くプロとしての目も持っていたのだと思います。第二に、彼は修復工事のリーダーとしての確信がありました。彼は3節で「私は大工事をしているから、下って行けない。私が工事をそのままにして、あなたがたのところへ下って行ったため、工事が止まるようなことがあってよいものだろうか。」と答えています。ネヘミヤは、この工事は神様から託されたものであり、そのために、自分が神様によってリーダーに立てられたと確信していました。大切な工事を任されたリーダーが、工事の真っ最中に、工事現場を離れることなどできないと彼は確信していました。以前、韓国で大勢の高校生が乗った船が沈没したときに、当時のパククネ大統領が7時間所在不明だったことが分かって大きな非難を受けましたが、ネヘミヤは、大工事を行う時に自分がいないことが、現場で働く人々に大きな影響を与えることを知っていました。3つ目の確信は2章の20節に記されています。「天の神ご自身が、私たちを成功させてくださる。だから、そのしもべである私たちは、再建に取りかかっているのだ。しかし、あなたがたにはエルサレムの中に何の分け前も、権利も、記念もないのだ。」ネヘミヤは、この工事が神様が始めたプロジェクトであると確信していて、しかも、これは、バビロンから帰ってきたユダヤ人たちのために、エルサレムの町を復興させ、ユダヤ人の国を復興させるためのものだということをはっきりと確信していたので、周りの地域の人々がエルサレムに関して何の権威も持っていないと断言しているのです。私たちクリスチャンも、傲慢になってはいけませんが、自分たちは神に選ばれた民であるということをいつも自覚しておかなければなりません。私たちがつねに最優先にするべきものは神様の御心であり、聖書の言葉です。私たちの教会で行われる一つ一つのことが、いつも、神の御心、聖書の言葉に従ったものでなければなりません。
 ネヘミヤ暗殺の陰謀に失敗した敵たちは、次に、ネヘミヤを脅迫するという手段に出ました。5節に「サヌバラテは五度目にも同じようにして、若い者を私のところによこした。その手には一通の開封した手紙を持っていた。」と書かれています。「開封した手紙」というのがポイントです。サンバラテもネヘミヤも役人ですから、相手に手紙を送る時は、封印をして、本人にしか読めないようにして送るはずです。この時、サンバラテがネヘミヤに開封したままの手紙を送ったのは、その手紙がネヘミヤの手元に届くまでの間、誰でも読めるようにするためでした。手紙には何が書かれていたのでしょうか。6,7節にこう書かれています。「諸国民の間に言いふらされ、また、ゲシェムも言っているが、あなたとユダヤ人たちは反逆をたくらんでおり、そのために、あなたは城壁を建て直している。このうわさによれば、あなたは彼らの王になろうとしている。また、あなたはエルサレムで、自分について宣言させるために、預言者たちを任命して、『ユダに王がいる。』と言わせている。今にこのようなことが王に聞こえるであろう。さあ、来なさい。いっしょに相談しよう。」ネヘミヤがエルサレムの城壁を修復しているのはペルシャ王への反逆であり、彼は自分が王様になろうとしているという内容です。「諸国民の間に言いふらされ、ゲシェムも言っているが」とサンバラテは書いていますが、それは彼自身が言わせていることで、彼と仲間たちがニセの噂を流してネヘミヤを陥れようとしていたのです。よく、うわさ話をする時に人は、「みんなが言っている」と言いますが、みんなが言うはずはありません。たいていは、その人だけか、あと2,3人だけです。この場合も、諸国民とは非常にあいまいですし、ゲシェムはもともとサンバラテの仲間です。彼らが言っていることがもし本当だとすると、一大事です。ペルシャ王は強力な権力で広大な帝国を支配していましたので、反乱が起きることを特に恐れて、少しでもそのような気配があると徹底的に抑え込んでいたからです。しかも、反逆だけではなく、ネヘミヤがユダヤの王となろうというのであれば、ペルシャ王はすぐにネヘミヤを殺すはずです。サンバラテは、手紙を開封したままにして工事にこの内容を関係者に知らせることによって、ユダヤ人内部に混乱を引き起こそうとしていたのです。そして、このような噂を流せば、ネヘミヤも、自分たちと相談しに、約束した場所に来るだろうと思っていました。しかし、ネヘミヤは、そのような脅しに流される人物ではありませんでした。8節で、彼は「あなたが言っているようなことはされていない。あなたはそのことを自分でかってに考え出したのだ。」きっばりと言っています。そしてすぐに神様に祈りました。「ああ、今、私を力づけてください。」

(2)いつわりの安全(10-14節)
 陰謀も脅しも失敗したサンバラテたちは、新しいたくらみを計画しました。今度は、彼らは、神の宮で働く預言者を買収して、彼をとおしてネヘミヤをおびき寄せようとしました。その預言者は、シェマヤという人物でしたが、彼は自分の家に閉じこもり、いかにも自分も身の危険が迫っているようなふりをしました。心配したネヘミヤが彼に会いに来ると、彼はネヘミヤに神殿に隠れることを提案します。「私たちは、神の宮、本堂の中で会い、本堂の戸を閉じておこう。彼らがあなたを殺しにやって来るからだ。きっと夜分にあなたを殺しにやって来る。」彼は、このことを神様からの預言であるかのように話しました。彼が神殿に行くことができたのは、おそらく、彼が祭司の家系の人間だったからだと思います。しかし、この陰謀もネヘミヤをひっかけることはできませんでした。彼は、すぐにシェマヤがサンバラテたちに買収されて、いつわりの預言をしていることを見抜いたのです。彼はこう答えました。「私のような者が逃げてよいものか。私のような者で、だれが本堂にはいって生きながらえようか。私ははいって行かない。」彼は、自分がシェマヤが考えているような人物でないことをはっきりと告げています。城壁工事そのものが妨害を受けている時に、リーダーが現場を離れることなど考えられないと、彼は答えました。彼は、このプロジェクトを始めた時から、自分はいつも神の目に正しい思えることだけを行うと自分に誓っていたのです。そして、自分の身の回りに起こっている一つ一つの出来事を注意して分析していたので、簡単に敵の策略に引っかかることはありませんでした。さらには、14節を見ると、ネヘミヤには、別の預言者たちからの陰謀があったことが分かります。そのうちの一人はノアデヤという名前の女預言者でした。ユダヤ人社会において、預言者はいつも人々から尊敬されていましたので、一般人であるネヘミヤが預言者からしつような攻撃を受けたことはかなり大変なことだったに違いありません。しかし、ネヘミヤは決して彼らの陰謀に負けることなく、自分の務めに専念しました。14節でも、ネヘミヤは祈っています。今自分を攻撃している預言者たちからの妨害も、すべて、神様に委ねました。神様が彼らを正しくさばくことを確信していたからです。彼の力、彼の勇気は、どこから来たのでしょうか。それは、ネヘミヤがどんな時も、どんなことも、すべてを神様に委ね、神様を信頼しているところから来ていました。
 彼は、神様から委ねられた仕事一筋に生きていました。彼のリーダシップのもと、エルサレムの人々も心を合わせて、城壁の修復工事を行っていました。その結果、ついにエルサレムの城壁と門の修復工事が完成しました。ネヘミヤの敵たちは、エルサレムの壁を修復することなんかできないと、彼らをさんざんののしっていました。簡単な工事ではないし問題が多すぎると彼らは言いました。しかし、神の民たちは、彼らの言葉に流されることなく、ネヘミヤをとおして示された神の御心、神の力を信じて、力を合わせて働いた結果、様々な問題を解決し、困難を乗り越えて、この大きな工事を完成させることができました。ネヘミヤが、ペルシャの宮殿で王のボディガードとして働いている時に、涙とともに受け取った神からのビジョンがついに実現しました。決して、簡単な道ではありませんでしたが、問題が起きるたびに、神様が一歩一歩助けと導きを与えてくださいました。ビジョンの大きさを見てひるんでしまうのではなく、神様の導きと助けを信じて前進することが、神の民の歩み方ではないでしょうか。ネヘミヤが妨害の連続の中でいつも心の支えにしていたのは2章20節に記された確信でした。2章の20節に記されています。「天の神ご自身が、私たちを成功させてくださる。」神様は、一羽の雀にさえも目を留めてくださる方です。ネヘミヤだけでなく、私たちにも同じようにめを留めてくださり、祈りを聞いてくださる方です。私たちは、傲慢になってはいけませんが、ネヘミヤのように、神様は私たちの人生にも働いてくださることを信じ、彼と同じように、「天の神ご自身が、私たちを成功させてくださる。」と確信して歩みましょう。

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